一、張り込み・尾行は不気味

拝啓　　義母さま


いつもこのくらいの時間に、散歩や買い物をする、と聞いて
孫にばったり会えたらなぁ、と
ささやかな期待をする分には罪はありません。

ただし、それが、目的を達成するまであきらめないとなると、
ちょっと話はかわってきます。


息子夫婦の住むマンションを見渡せる、広い道路に立ち、
延々と出てくるのを待ち伏せしている、謎の老女。

嫁と孫らしき後姿を発見して、
延々と1.5キロも後をついて歩く、家着のままの老女。

ターゲットにされている側としては、
なかなかに恐ろしいものなのですよ？


あなたと孫を隔離しているわけでは、まったくないのに、
なぜそこまで孫に執着するのでしょうか。

一日3回くらい孫に会わないと、
なにかの発作でもおきるのでしょうか。


ひとはそれを、ストーカーと呼びます。
通報される前に、最低限の良識を、今一度、思い出してください。

お互い、親子の絆は固い

■テーマ　　母親像


私はかなりのマザコンです。

ずっと実家で母親と暮らしていたかった、
旦那と実母がおぼれていたら、実母を助けるだろう、というくらい。

今、自分が子供をもって、私も実母のような、
なにをしても、愛されてることだけは確信できる、
そんな親でありたいな、と思い描いています。


で、翻って旦那。

旦那にとって義母は、私にとっての実母とおなじ、特別な存在なんでしょう。
だから、旦那のマザコンな気持ちはわかるし、
それを不快に感じるのを申し訳ないと思ったりもする。
……心が穏やかなときに、少しだけ(笑)


ただ、同じマザコンでも、私と旦那の決定的にちがうところは、
互いの親が、我々家族の中に出てくる頻度なのです。

近いんだから仕方ないって？
じゃあ、それが、よくないんだよ。私にとって、義親は近すぎるんだよ。

旦那とふたりして頻繁に、やることなすこと
ひとの神経を逆なでしてくれるものだから、
ますます義実家からは足が遠のき、心は自分の実家へ。

お互い、親じゃなくて相手を、いちばんいいかたちだと思えないと、
夫婦の絆はいつか砕け散るのかもしれないね。

思えばあれが致命的…

■テーマ　　義母の一言


出会ったときからすでに旦那は潰瘍持ちでした。

一度にたくさん食べられないらしく、小腹がすくと、ちまちまと
おかずの残りやパンなんかをつまんだりしてるわけです。

「食え食え言われるのがいちばん辛い」と言うので、
毎食、頭をひねりながら、
冷めても、本人が好きなときに手軽に食べられるものを組み込んだり、
常備食を欠かさないようにしているわけです。


慢性化してるとはいえ、病気なので、太るはずもなく、
仕事でストレスがかかると、食がさらに細くなる旦那。

もともと神経質で、精神的に脆いタイプなので、
当時勤めていた会社の倒産が決まったときには、もうもう、という感じでした。

おなかに赤ちゃんがいるとわかったのも、この頃。

「どうしよう、子供うまれるのに無職だ！」

……旦那は『やせ期』に突入しました。


そんなときの義母の言いようが

「ちゃんと食べさせてるのか」
「うちの息子をやせ細らせてるのは、おまえじゃないのか」

具体的にこう言ったわけではありません。
が、ようするに、そういうことを、
何重にも言葉に保険をかけて、遠まわしに、言った。


以来、おすそ分けの食べ物も、ぼんやりした笑顔も、
私には姑息でイライラするものでしかなくなった気がします。

それまでにも時々「んっ？」と思うことや、気を使って疲れることはあっても、
「またね、バイバイ」をすれば、流せてました。

口は災いの元。
そんなに息子がかわいけりゃ、首に縄でもつけて括っとけ。