一、拿捕禁止

拝啓　　義母さま


うちの息子が、あなたにとって、晩年にようやく出会えた唯一の孫で、
かわいいのは、とても伝わります。

さわりたくもなるでしょう。
なついてほしいと思うでしょう。

ならばまず、同じ空間に足を踏み入れた瞬間に息子を拘束するのは、
絶対にやめたほうがいいと思います。

動きたい盛りなのです。

小さいなりに、体が自由にならないのは不安になるのです。

私がやんわり解放を促すと、怒ってキーキーしている息子に
「……お母さんがいいの、そう…」
と、じっとり湿ったまなざしを向けるのも、なんだかなぁ、という感じです。


息子が物の道理をわかるようになったとき、
あなたに気を使いすぎて、余計な影響を与えられないか、
正直不安でもあります。

あなたの息子であり、私の旦那が、
変に他人の言動に対して卑屈だったり傲慢だったり神経質であるように。


なるべく自分主体ではなく、孫主体で面会をおねがいいたします。

一、急いで取りに行くほど、必要な物はない

拝啓　　義母さま


以前、電話を戴いても、子供の散歩や昼寝で出られないこともあると、
何度かお伝えしました。

何分もベルを鳴らされても、出られないときは出られないのです。

直後に携帯を何度も鳴らされて、
何度目からか、恐怖を感じるようになりました。


最初のうちは急用かなと思って、
イライラしながらも電話に出ていましたが、
言うことといえば

「レタスあるから、今から取りに来い」

そんなんばかり。


差し入れはなんでもありがたいですが、
しつこく電話され、
大至急取りに伺うほど切羽詰って必要としていませんので、あしからず。

一、雑用は自分の家庭で解決すべし

拝啓　　義母さま


「プリンタの調子が悪いから、ちょっと見にきて」

「ネット回線を光にしたいから、ちょっと見にきて」

「ウィルスに感染したっぽいから、ちょっと見にきて」

パソコン全般は便利な反面、飼いならすのにコツがいるので、
勉強する気も、深入りしない慎重さもないのなら、
いっそ、使わないほうがいいんじゃありませんか？

ていうか、なぜ家にいる次男坊に頼まないんですか？


「訪問販売、契約しちゃった。やっぱりやめたいどうしよう」

「物置にいれといたタイヤが盗まれたようだ」

「カギ持たないで散歩したら、お父さんが出かけちゃって締め出された」


……知らんがな。


正直、こちらも四六時中すきに時間をつかえるわけでも、
ましてや、暇をもてあましているわけでもありません。

あなたの身に起こる逐一を、訴えてこられても、きりがなく、
学習もしないとなると、
またか、とうんざりしてしまいます。少なくとも私は。かなり。

オオカミ少年にならないためにも、
あなたの『困った』は、極力あなたの家の中で解決しましょう。